囁き声
エドマが好きなんですがそれはry ちびっこフィガロ兄弟描写があります。中途半端で意味不明
「マッシュ、」
熱に魘される片割れの手を、エドガーは慰めるように握った。柔らかくて、小さくて、優しい弟。その弟が、真っ白な肌を真っ赤にさせて、苦しそうに寝返りを打っている。汗ばんだ額に置かれた濡れタオルとひんやり冷たい氷枕は、あまり効果がないように見える。エドガーにとってもマッシュにとっても「いつものこと」だったが、双子はいつまでたっても慣れない。
マッシュはエドガーの手を小さく握り返し、腫れぼったい瞼を薄く開いてふわりと笑った。
「あにうえ」
舌足らずに呼ぶ弟にエドガーは努めて明るく接する。
「なんだ、マッシュ」
「ちちうえと、おけいこは?」
「もう終わったよ。それより、お腹空かないか?」
そう聞くとマッシュは枕に顔を埋めて、「あにうえのこうちゃのみたいなぁ」と呟いた。と、同時に小さな寝息が聞こえてくる。エドガーは漸く、愛しい弟が熱を押して自分と会話してくれたのを察した。扉が開き、毅然とした初老の女が「帝王学の時間です、エドガー様」と声をかける。
エドガーは振り向いて言った。
「申し訳ないが、先生には帰ってもらうように伝えてくれないか。それから、マッシュの好きな茶葉の置き場所を教えてくれ」
■
「・・・兄貴が淹れてくれたんだよな」
マッシュはとろりとした茶褐色の紅茶を見つめている。白い湯気が立ち上るカップは、マッシュのお気に入りのものだ。花の匂いが混じった甘い香りが室内に充満している。それも女性の身につける香水とは違い、爽やかな気分にさせる。マッシュは勿論、その双子の兄であるエドガーもこの紅茶の香りを好んでいた。
エドガーはポットを置いてマッシュの向かいの席に座った。
「何の話だ?」
「俺が風邪引いたら、必ず兄貴が紅茶淹れてくれただろ」
照れ笑いのような表情を浮かべ、カップの端に口を付ける。その巨躯に見合わない静かな仕草で紅茶をのみ、音も立てずカップを受け皿に置く。エドガーも同じような仕草で紅茶を一口飲み込むと、「あの頃は下手だった」と肩を竦めた。
「でも俺は嬉しかったよ。鼻も詰まってて味も全然わかんなかったけどさ、兄貴が全部自分でやってくれたんだって思うと本当に・・・」
そう言いかけて、マッシュは口を噤んだ。エドガーが顔を伺うと、熱に魘されていたあの時と同じように、頬を真っ赤にさせている。パクパクと金魚のように口を開閉させ、漸く言葉を紡いだかと思えば「あ、ああああの、い、いまのは、わ、わすれて、」と吃る。外見は変わらずとも性格は変わらないものだ。――そう考えつつ、エドガーもマッシュと同じように頬を赤くさせていた。似た者同士である。
「いや・・・忘れるわけにはいかないなぁ」
幾度か咳払いをして、エドガーは言った。それから立ち上がって意地の悪そうな笑みで頬を撫でると、マッシュは上目遣いに兄を見た。と、目の前が暗くなった。次の瞬間には視界が開けたがその頃には唇に何かの余韻を感じ、マッシュはまた頬を赤らめた。
「マッシュ、」
熱に魘される片割れの手を、エドガーは慰めるように握った。柔らかくて、小さくて、優しい弟。その弟が、真っ白な肌を真っ赤にさせて、苦しそうに寝返りを打っている。汗ばんだ額に置かれた濡れタオルとひんやり冷たい氷枕は、あまり効果がないように見える。エドガーにとってもマッシュにとっても「いつものこと」だったが、双子はいつまでたっても慣れない。
マッシュはエドガーの手を小さく握り返し、腫れぼったい瞼を薄く開いてふわりと笑った。
「あにうえ」
舌足らずに呼ぶ弟にエドガーは努めて明るく接する。
「なんだ、マッシュ」
「ちちうえと、おけいこは?」
「もう終わったよ。それより、お腹空かないか?」
そう聞くとマッシュは枕に顔を埋めて、「あにうえのこうちゃのみたいなぁ」と呟いた。と、同時に小さな寝息が聞こえてくる。エドガーは漸く、愛しい弟が熱を押して自分と会話してくれたのを察した。扉が開き、毅然とした初老の女が「帝王学の時間です、エドガー様」と声をかける。
エドガーは振り向いて言った。
「申し訳ないが、先生には帰ってもらうように伝えてくれないか。それから、マッシュの好きな茶葉の置き場所を教えてくれ」
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「・・・兄貴が淹れてくれたんだよな」
マッシュはとろりとした茶褐色の紅茶を見つめている。白い湯気が立ち上るカップは、マッシュのお気に入りのものだ。花の匂いが混じった甘い香りが室内に充満している。それも女性の身につける香水とは違い、爽やかな気分にさせる。マッシュは勿論、その双子の兄であるエドガーもこの紅茶の香りを好んでいた。
エドガーはポットを置いてマッシュの向かいの席に座った。
「何の話だ?」
「俺が風邪引いたら、必ず兄貴が紅茶淹れてくれただろ」
照れ笑いのような表情を浮かべ、カップの端に口を付ける。その巨躯に見合わない静かな仕草で紅茶をのみ、音も立てずカップを受け皿に置く。エドガーも同じような仕草で紅茶を一口飲み込むと、「あの頃は下手だった」と肩を竦めた。
「でも俺は嬉しかったよ。鼻も詰まってて味も全然わかんなかったけどさ、兄貴が全部自分でやってくれたんだって思うと本当に・・・」
そう言いかけて、マッシュは口を噤んだ。エドガーが顔を伺うと、熱に魘されていたあの時と同じように、頬を真っ赤にさせている。パクパクと金魚のように口を開閉させ、漸く言葉を紡いだかと思えば「あ、ああああの、い、いまのは、わ、わすれて、」と吃る。外見は変わらずとも性格は変わらないものだ。――そう考えつつ、エドガーもマッシュと同じように頬を赤くさせていた。似た者同士である。
「いや・・・忘れるわけにはいかないなぁ」
幾度か咳払いをして、エドガーは言った。それから立ち上がって意地の悪そうな笑みで頬を撫でると、マッシュは上目遣いに兄を見た。と、目の前が暗くなった。次の瞬間には視界が開けたがその頃には唇に何かの余韻を感じ、マッシュはまた頬を赤らめた。
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