お薬
子ビリクラからの大人ビリクラ。ついったで垂れ流したら自分で萌えた。えろくはないけどいけないお薬が出てくるので注意。あと酒と薬の相性は最悪だから真似しないでね!!
どんより重たい雲が所狭しと空に敷き詰められている。空気はジメジメしていて、雨が降っていないのに服が湿気って気持ち悪い。ただでさえ服の替えが少ないのに、天気で駄目になれば元も子もない。友人が時間になっても待ち合わせ場所に来ないこともあってクライドは機嫌が悪かった。眉根を寄せ、口角を下げ、腕を組んで貧乏ゆすりをする。齢10歳の少年がする顔ではない。
いい加減帰ろうか、と考え始めた頃、クライドより高い声音の声が聞こえてきた。
「おーい、クライド!」
「遅いぞビリー」
ブンブンと手を振って走ってきたビリーは、勢い余ってクライドの胸に飛び込んだ。いつものことなので気にせず受け止める。ビリーは顔を上げた。海のような瞳が太陽に反射して輝くようにキラキラしている。息は切れているが、どこか興奮の収まらないような表情をしていた。
「どうした?」
「いいもん買った!」
「はあ?」
クライドが訝しげに聞き返すと、ビリーは言った。
「ふわふわする薬!」
■
「で?」
既に中身など入っていない酒樽の上に座り足を組むクライドの隣で、ビリーは同じ酒樽にあぐらをかいて粉薬のようなものを広げた。透明の袋に入っている。
「大人はこれ飲んで興奮するんだって」
「・・・それ、麻薬って奴じゃないのか?」
クライドが自分の持てる情報を引き出してそう言うと、ビリーは小首を傾げた。
「んー、なんかの薬って聞いたけど」
どうやら詳細まで聞かずに買ったらしい。あまりに考えなしな友人の行動にクライドは溜息を吐いた。
「美味いのかな」
ビリーがボヤく。クライドは「やめとけよ、毒だったらどうするんだ」と言ってこの話を打止めにした。その後薬がどうなったかは、ビリーしか知らなかった。
数年の年月が経つまでは。
■
程よく酔っ払って寝床にしている空き家に帰ってきたビリーとクライドは、特にすることも無かったので先日かっぱらってきたワインを開けた。それなりに寝かせてあったのか、酒屋で飲んだ安酒よりも味の品がよく、既に酔っていたこともあって二人は気付けば3本もワインを開けていた。飲みすぎである。
歯止めがききそうにないことに気づいたクライドが、「これで最後にするぞ」とビリーに告げると、ビリーは「ええええ」と残念そうに唇を尖らせた。僅かに頬が赤い。クライドの方は然程顔色が変わらないが、耳が赤くなっていることにビリーは気づいていた。
「んー、じゃあこれで終わりにする」
そう言ってぐいっとグラスを煽る。まるでビールでも飲むかのように豪快だ。普段なら小うるさく文句を言うクライドだが、酔っているせいか何も言わず同じようにグラスを煽った。
■
「ところでさあ」
体中が熱かった。心臓の奥底からじわりと熱湯が溢れ出ているかのように。酔っている。自分は間違いなく。クライドはそう確信したが、しかし、一方でいつもより酒の回りが早すぎるとも思った。
「これ覚えてる?」
そう言ってビリーが出したのは、いつだか買ったという妙な薬だった。2袋ほどあったと思うが、今は1袋しかない透明の袋を見て、クライドは段々と嫌な予感がした。立ち上がったビリーがクライドの肩を少し押すと、何の抵抗もなくクライドの体は床に倒れた。
熱っぽい吐息が出た。歯を食いしばってビリーを睨みつけるクライドは、ソッチの気がなくても妙な気分になるだろう。扇情的だった。
「何故今も持っている」
大筋が察せたのだろう、クライドは絞り出すように言った。それを見てビリーはなんでもない風に言う。
「買ったもん使わずに捨てるのは貧乏性的に無理」
「なんで俺に盛る」
「うーん、お前ならイケるかなって」
あっけらかんと告げるビリーにクライドは殺意が湧いた。なんとか起き上がろうとしてもできない。ビリーがニコニコとクライドの体に下から腕を通して持ち上げた。あの頃はビリーの方が小さかったが、今は違う。同年代の子供達より背が高かったクライドを、成長期がきたビリーは易々と超えてしまった。
お世辞にも綺麗とは言えないベッドにクライドを寝かせ、覆いかぶさるような態勢になったビリーを、クライドは思い切り睨みつけた。
「ふざけんな馬鹿野郎」
しかし精一杯のクライドの睨みつけもビリーには効果がなかった。そもそも、顔面が赤く酒で潤んだ瞳はどう見ても、
「ごめん誘ってるようにしか見えない」
そうとしか見えないだろう。それも、年頃の男ならば。
「この、くそ・・・」
無駄と悟ったのか、クライドはそれだけ吐いて後は身を委ねた。
いい加減帰ろうか、と考え始めた頃、クライドより高い声音の声が聞こえてきた。
「おーい、クライド!」
「遅いぞビリー」
ブンブンと手を振って走ってきたビリーは、勢い余ってクライドの胸に飛び込んだ。いつものことなので気にせず受け止める。ビリーは顔を上げた。海のような瞳が太陽に反射して輝くようにキラキラしている。息は切れているが、どこか興奮の収まらないような表情をしていた。
「どうした?」
「いいもん買った!」
「はあ?」
クライドが訝しげに聞き返すと、ビリーは言った。
「ふわふわする薬!」
■
「で?」
既に中身など入っていない酒樽の上に座り足を組むクライドの隣で、ビリーは同じ酒樽にあぐらをかいて粉薬のようなものを広げた。透明の袋に入っている。
「大人はこれ飲んで興奮するんだって」
「・・・それ、麻薬って奴じゃないのか?」
クライドが自分の持てる情報を引き出してそう言うと、ビリーは小首を傾げた。
「んー、なんかの薬って聞いたけど」
どうやら詳細まで聞かずに買ったらしい。あまりに考えなしな友人の行動にクライドは溜息を吐いた。
「美味いのかな」
ビリーがボヤく。クライドは「やめとけよ、毒だったらどうするんだ」と言ってこの話を打止めにした。その後薬がどうなったかは、ビリーしか知らなかった。
数年の年月が経つまでは。
■
程よく酔っ払って寝床にしている空き家に帰ってきたビリーとクライドは、特にすることも無かったので先日かっぱらってきたワインを開けた。それなりに寝かせてあったのか、酒屋で飲んだ安酒よりも味の品がよく、既に酔っていたこともあって二人は気付けば3本もワインを開けていた。飲みすぎである。
歯止めがききそうにないことに気づいたクライドが、「これで最後にするぞ」とビリーに告げると、ビリーは「ええええ」と残念そうに唇を尖らせた。僅かに頬が赤い。クライドの方は然程顔色が変わらないが、耳が赤くなっていることにビリーは気づいていた。
「んー、じゃあこれで終わりにする」
そう言ってぐいっとグラスを煽る。まるでビールでも飲むかのように豪快だ。普段なら小うるさく文句を言うクライドだが、酔っているせいか何も言わず同じようにグラスを煽った。
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「ところでさあ」
体中が熱かった。心臓の奥底からじわりと熱湯が溢れ出ているかのように。酔っている。自分は間違いなく。クライドはそう確信したが、しかし、一方でいつもより酒の回りが早すぎるとも思った。
「これ覚えてる?」
そう言ってビリーが出したのは、いつだか買ったという妙な薬だった。2袋ほどあったと思うが、今は1袋しかない透明の袋を見て、クライドは段々と嫌な予感がした。立ち上がったビリーがクライドの肩を少し押すと、何の抵抗もなくクライドの体は床に倒れた。
熱っぽい吐息が出た。歯を食いしばってビリーを睨みつけるクライドは、ソッチの気がなくても妙な気分になるだろう。扇情的だった。
「何故今も持っている」
大筋が察せたのだろう、クライドは絞り出すように言った。それを見てビリーはなんでもない風に言う。
「買ったもん使わずに捨てるのは貧乏性的に無理」
「なんで俺に盛る」
「うーん、お前ならイケるかなって」
あっけらかんと告げるビリーにクライドは殺意が湧いた。なんとか起き上がろうとしてもできない。ビリーがニコニコとクライドの体に下から腕を通して持ち上げた。あの頃はビリーの方が小さかったが、今は違う。同年代の子供達より背が高かったクライドを、成長期がきたビリーは易々と超えてしまった。
お世辞にも綺麗とは言えないベッドにクライドを寝かせ、覆いかぶさるような態勢になったビリーを、クライドは思い切り睨みつけた。
「ふざけんな馬鹿野郎」
しかし精一杯のクライドの睨みつけもビリーには効果がなかった。そもそも、顔面が赤く酒で潤んだ瞳はどう見ても、
「ごめん誘ってるようにしか見えない」
そうとしか見えないだろう。それも、年頃の男ならば。
「この、くそ・・・」
無駄と悟ったのか、クライドはそれだけ吐いて後は身を委ねた。
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