恋の魔法2
性転換ティナシャドの恋路を見守るセリロク。ティナ男視点からのセリ男視点。短い
「やっぱり、まずは好きな人に興味を持ってもらわないとね」
ロックは爪の丸い指をピンと立てて言った。普段は幼い言動が目立つけれど、恋愛に関することはお姉さんなんだな、と感心する。僕は首を傾げた。
「興味を持ってもらうって、例えば?」
「ん~・・・少なくともシャドウは、ティナのことを仲間と思ってるでしょう。でもね、両思いになるには仲間じゃダメなの。もっと上のランクにならなくっちゃ」
よくわからない。
「あー・・・じゃあね、例えばティナは人参が好きだとするでしょ。でも、ティナの好きな人は人参が嫌いなの。そんな時はどうする?」
「えっと、食べやすい人参料理を作るとか・・・?」
例えばシチューやカレーなんかはルーの味が染み込んで人参嫌いの子でも食べてくれるし、オムライスに細かく刻んだ人参を入れておけばケチャップの色と混ざる上に人参特有の甘味もあまり無い。ピーマンも同じだ。細かく刻んでしまえばなんとか食べてくれる。それでも、嫌いな子は食べてくれないが。
「そう。食べやすように工夫して、『好きになってもらう』でしょう」
「・・・あ」
「そういうことよ。まずはシャドウにティナのことを好きになってもらわなきゃ」
なるほど、そういうことか。僕は深く頷いた。
「しかし敵は強いわ・・・どう料理してやろう」
右目を引き攣らせて遠くを見つめるロックは、どこかで見たことがあるような、品定めするというか、緊迫しているともとれるよくわからない表情をしていた。
■
「なんのつもりだ」
扉が閉まった瞬間、警戒をあらわにシャドウが言った。扉に背を預け、腕を組んでこちらを睨んでいる。インターセプターも同じように俺を睨んで低い唸り声を上げていた。俺はわたわたと手を動かして口を開いた。
「いや、なんていうか、その、」
上手く言葉が出てこない。
「・・・あー、まあ、戦闘についての相談は嘘だよ」
「認めるのか」
「隠し通せるはず無いからな」
元来隠し事は苦手な性格だと自覚済みだ。シャドウはスッと目を細めた。そういえば、案外目はでかい方だな、と唐突に思った。
「それで」
「・・・ティナの事なんだ」
「・・・私とティナに何の関係がある」
表情は読み取れないが、その声音に僅かな動揺が表れた事に気付いた。
「アイツは失った感情を取り戻した。探し続けていた答えを見つけたんだ。愛するということを。でもな、愛にも違いがあるだろう。それが父性愛なのか、友愛なのか、それとも――恋愛なのか。ティナは真っ先に父性愛を見つけた」
シャドウは何も言わない。俺は言葉を続けた。
「それが間違っているとは思わないけど、順番をすっ飛ばしたのは事実だ」
出会った二人が恋をし、結婚し、愛を育み、子供が出来て、男親には父性愛が、女親には母性愛が産まれる。俺はそういうものだと思っている。ティナはモブリズの子供達と擬似的な家族関係を作り上げて父性愛に目覚めた。けれどそれは恋愛とは違う。
「直球に言うぞ。お前はティナに好かれてる」
さあ、なんて答える?冷徹の暗殺者よ。
「やっぱり、まずは好きな人に興味を持ってもらわないとね」
ロックは爪の丸い指をピンと立てて言った。普段は幼い言動が目立つけれど、恋愛に関することはお姉さんなんだな、と感心する。僕は首を傾げた。
「興味を持ってもらうって、例えば?」
「ん~・・・少なくともシャドウは、ティナのことを仲間と思ってるでしょう。でもね、両思いになるには仲間じゃダメなの。もっと上のランクにならなくっちゃ」
よくわからない。
「あー・・・じゃあね、例えばティナは人参が好きだとするでしょ。でも、ティナの好きな人は人参が嫌いなの。そんな時はどうする?」
「えっと、食べやすい人参料理を作るとか・・・?」
例えばシチューやカレーなんかはルーの味が染み込んで人参嫌いの子でも食べてくれるし、オムライスに細かく刻んだ人参を入れておけばケチャップの色と混ざる上に人参特有の甘味もあまり無い。ピーマンも同じだ。細かく刻んでしまえばなんとか食べてくれる。それでも、嫌いな子は食べてくれないが。
「そう。食べやすように工夫して、『好きになってもらう』でしょう」
「・・・あ」
「そういうことよ。まずはシャドウにティナのことを好きになってもらわなきゃ」
なるほど、そういうことか。僕は深く頷いた。
「しかし敵は強いわ・・・どう料理してやろう」
右目を引き攣らせて遠くを見つめるロックは、どこかで見たことがあるような、品定めするというか、緊迫しているともとれるよくわからない表情をしていた。
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「なんのつもりだ」
扉が閉まった瞬間、警戒をあらわにシャドウが言った。扉に背を預け、腕を組んでこちらを睨んでいる。インターセプターも同じように俺を睨んで低い唸り声を上げていた。俺はわたわたと手を動かして口を開いた。
「いや、なんていうか、その、」
上手く言葉が出てこない。
「・・・あー、まあ、戦闘についての相談は嘘だよ」
「認めるのか」
「隠し通せるはず無いからな」
元来隠し事は苦手な性格だと自覚済みだ。シャドウはスッと目を細めた。そういえば、案外目はでかい方だな、と唐突に思った。
「それで」
「・・・ティナの事なんだ」
「・・・私とティナに何の関係がある」
表情は読み取れないが、その声音に僅かな動揺が表れた事に気付いた。
「アイツは失った感情を取り戻した。探し続けていた答えを見つけたんだ。愛するということを。でもな、愛にも違いがあるだろう。それが父性愛なのか、友愛なのか、それとも――恋愛なのか。ティナは真っ先に父性愛を見つけた」
シャドウは何も言わない。俺は言葉を続けた。
「それが間違っているとは思わないけど、順番をすっ飛ばしたのは事実だ」
出会った二人が恋をし、結婚し、愛を育み、子供が出来て、男親には父性愛が、女親には母性愛が産まれる。俺はそういうものだと思っている。ティナはモブリズの子供達と擬似的な家族関係を作り上げて父性愛に目覚めた。けれどそれは恋愛とは違う。
「直球に言うぞ。お前はティナに好かれてる」
さあ、なんて答える?冷徹の暗殺者よ。
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